一人飯(ひとりめし)。
このちょっと切ない響きの言葉を最高の娯楽にした漫画がかつて存在しました。
それが「孤独のグルメ」です。
異色のグルメ漫画「孤独のグルメ」
グルメ漫画は数多くあれど、美味しんぼであれば新聞社が舞台で仲間がいて相手がいて…という感じですし、将太の寿司でもミスター味っ子でもそれは同じです。
この漫画の特殊なのは、一緒に料理を食べる相手がいるわけでもなければ趣向を凝らした凄い料理も出ないというところ。
本当に「中年のおじさんが1人で食べるご飯の物語」なんです。
内容を簡単に説明すると、主人公はご存知(?)井之頭五郎。雑貨輸入商を個人で経営する中年男で、この井之頭五郎が出先でふらりと立ち寄った飲食店でご飯を食べ、食べながら色々考える心理描写が主体の漫画です。
1話完結なのですが、特に盛り上がるイベントが作中で起きるわけでもなく淡々としています。でも、そこがハードボイルドな感じもあっていいんですよね。
しかも井之頭五郎は下戸。お酒が飲めないという設定なので大人のグルメ漫画でありがちな「飲み屋メニュー」になる事もなく、毎回の食事がきちんと「食事」になっています。
定食屋に行けばメニューに迷い、人が何かを注文すればそのメニューが気になってしまいます。
日常の何気ない1コマを切り取ったような話ばかりなんですが、だからこそ飾らないグルメ漫画になっています。
孤独のグルメ第2巻が9月28日発売
さてそんな漫画ですが…ついに出ますね。「孤独のグルメ」第2巻が。
早速アマゾンで予約しているので到着がとても楽しみです。
孤独のグルメは1994年から1996年まで連載されていた漫画だそうですが、僕が初めて知ったのはネット上で見たこの画像でした。
うおォン 俺はまるで人間火力発電所だ
焼肉屋での一コマ。とにかく井之頭五郎は食べるんです。食いっぷりはドラマでもしっかり再現されていますが、焼肉屋で一人飯を食べるあたりはさすが。
初めて見た時は「?」となりましたが、調べると「孤独のグルメ」という漫画だという事が分かり、さらに作者の久住昌之さんは「夜行」の作者さんだという事も分かりました。「夜行」は未読なのですが世にも奇妙な物語での異色作「夜汽車の男」は有名でしょう。この回の冒頭の不穏な空気と物語のギャップにはやられました。
見た事のない方はぜひ見てみてください。この一人飯の雰囲気はまさに「孤独のグルメ」につながる物があります。
この原作を書いた人の漫画なら面白いに違いない。と買ったのですが内容にすっかりやられました。
僕は一人暮らしが長かった事もあり一人飯大好きなのですが、心理描写も含めてまさに一人飯の醍醐味を味わってるんですよね井之頭五郎は。
お腹が空いたら気になった物を誰に相談するでもなく食べ、ご飯の感想を一人思い連ねる。これは井之頭五郎のセリフ
「モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず自由で。なんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで…」
に集約されていると思います。
ドラマ版孤独のグルメも毎回美味しそう
孤独のグルメにはドラマ版もあり、来月からシーズン5が始まるほどの人気ぶり。
漫画で新刊が出ることも、ドラマがこれだけ続く事もまさにネットの力を感じずにはいられません。
ネットがなければ僕はこの漫画に出会う事がなかったかもしれませんしね。
ドラマ版孤独のグルメでは、井之頭五郎を演じるのは松重豊さん。意外にも初主演だそうです(この方と甲本ヒロト氏が友人関係にあるというのも意外なところ)。
ドラマ版孤独のグルメでも、心理描写が悩める男の子(中年ですが)という感じでおもしろいんですが、ドラマに出てくるお店は全て実在するお店。
章かいされたお店は「聖地巡礼」ブームもあって大人気店になるそうですよ。
孤独のグルメの趣旨として「別に高級店で食べたいわけじゃない」ので、大衆的なお店ばかりで毎回食欲をそそられます。
個人的に試した物として「生ピーマンにつくねを詰める」のは新しい発見で美味しかったです。
https://www.youtube.com/watch?v=uz4wnxv5TdM
※シーズン1から全ての料理を網羅したTV東京の孤独のグルメページもぜひ見てみてください。
孤独のグルメ「一人飯」を楽しもう
という事で今回は「孤独のグルメ」をご紹介しました。
「孤独の」というタイトルが付いていますが、決して寂しかったり侘しかったりするわけではありません。
漫画版もドラマ版も、自由にのびのびと一人飯を心底楽しんでいる井之頭五郎。
己の身一つで新たな店を発掘していくその姿は、ある意味崇高にも感じられます。
あなたも今日から、孤独のグルメを始めてみてはいかがですか?