待望の新海誠監督の最新作、「君の名は。」が8月26日に公開されます。
ストーリーとしては男女の入れ替わりを「夢の中」「田舎と都会という全く違う環境」で描く、ある意味いいとこ取りの内容といえそうです。夏の田舎の景色の素晴らしさって日本人の琴線に触れる物がありますよね。
2016年夏公開、映画「君の名は。」
ストーリー
1000年ぶりの彗星を１ヵ月後に迎える日本。
山間の田舎町でクラス女子高生の三葉は都会にあこがれ憂鬱な毎日を過ごしている。
ある日、夢の中で自分が男の子になっていた。あこがれだった東京の街並みや生活。夢の中で三葉は東京の暮らしを満喫した。そして同じ頃、東京では男子高校生の滝も不思議な夢を見ていた。
山間の田舎町で女子高生になって暮らす夢。二人は夢を繰り返し、気付く。
「もしかして、夢の中で入れ替わってる…？」
新海誠監督といえば、圧倒的な背景の美しさと恋愛を軸にした切ないストーリー（遠距離物が多い）と静かな描写が魅力ですが、今回は異色の内容になる予感がしています。
というのも、登場人物の表情が違う。
サマーウォーズを彷彿させるような明るい表情の登場人物って新海映画では珍しいんじゃないでしょうか？今までって、だいたいが落ち着いた登場人物（小学生でも高校生でも）でしたからね。
新海誠監督作品の表情を見比べてみる
秒速5センチメートルでの描写
まずは秒速5センチメートルから見てみましょう。
まさにアニメという感じの絵ですが、笑顔だったりコミカルな画風ではありません。背景と登場人物の囁くような声で、映画全体が重苦しい…というか息苦しい…というかそんな雰囲気に包まれていました。
それは「緊張感」だったのかもしれませんが、楽しく笑いあうというような描写は無かったように記憶しています。
余談ですが、秒速5センチメートルの中で描かれる人物描写って正直言ってチープです。ですが、米紙での評価ではそのチープさを「圧倒的な背景と人物の描写のチープさで、運命に翻弄される主人公の対比として表現している」と評したそうです。
なるほど。そう言われると確かに背景との対比が凄いのはそういう表現でもあるのかと納得できる部分があります。未見の人にはぜひ見て欲しいアニメです。個人的には「コスモナウト」が好きです。
言の葉の庭での描写
続いては「言の葉の庭」を見てみましょう。
靴職人を目指す男子高校生と、雨の降る公園で朝からビールを飲んでいる女性との交流の物語なんですが、このように表情はあまり明るい物ではありません。
「雨の日」だけに会う2人の物語なので、雨の日の暗さや雰囲気の描写がとにかくよく出来ている映画です。画面を見ている自分まで雨の湿気を浴びているような。「言の葉の庭」では、今までになく表情が豊かになっている印象がありました。
君の名は。での描写
ここからは「君の名は。」を見てみます。
この時点で全く違うのが分かるんじゃないかと思います。寝癖にしろ表情にしろ、コミカルさが加わってエンターテイメント性が上がっている感じを受けます。万人受けしそうな作画と言ったらいいでしょうか？
表情が違う。それもそのはず。今回の作画監督は安藤雅司（あんどうまさし）さんでスタジオジブリ出身者。過去に手掛けた作品としては「千と千尋の神隠し」「パプリカ」「ももへの手紙」等があります。ももへの手紙も田舎の話ですが、いい映画でした。
3つの作品を見比べてみましたが、もちろん演出の違いもあるんだとは思いますが、作画監督が違うと表情の作り込み方まで変わってくるのかもしれませんね。
「君の名は。」の予告編を見てみると、表情だけでなく音楽も新しい試みである事が分かります。音楽はRADWIMPSが担当していて、躍動感・疾走感が今までの新海映画とはまるで違います。今までの新海映画ってなんかこう…音楽も落ち着いた印象でした。
予告だけでも面白そうなので、今年の夏の映画は「君の名は。」で決まりでしょう。出来れば映画館で観たいなと思っています。（子供がいるので難しそうではあるんですが…）
