はだしのゲンを読んだ事のない人ってどれくらいいるんだろう?
小学校の図書室に当たり前のように置いてある学校公認マンガというイメージの強い「はだしのゲン」ですが、あなたの小学校には置いてありましたか?
広島に原爆が落ちる前の広島の世界と、原爆が落ちてからの地獄のような広島、そしてそこから復興するまでと復興してからを描いたのがはだしのゲンです。
はだしのゲン創作の真実
先日、ふと近くの図書館に行きたくなって「はだしのゲン創作の真実」というドキュメンタリー本を読む機会を得ました。
はだしのゲンは東京へ旅立つまでで第1部が終わっていますが、創作の真実ではオマケとして第2部の草稿(いわゆるネーム)が掲載されています。
東京に着いたゲンがスリに遭って全財産を失ってしまう所でネームは終わっていま
すが、東京編・フランス編の構想があったそうなので見てみたかったなぁ…。
作者である中沢先生の奥さん(アシスタントでもあった)へのインタビュー等や「当時はだしのゲンは人気がなかった」と語る編集の方へのインタビューもあり面白いので読んでみてはどうでしょうか?
はだしのゲンには公式サイトがある
で、今回このサイトを思い出したので紹介してみようと思ったわけですが、公式サイトだったのねこれ…。
極彩色のサイトで、このごちゃごちゃ感はネット黎明期の頃ならではです。初めてこのサイトを見たのは10年以上前だったと思うので、相当昔に作られたサイトなのでしょう。
僕はもう18年以上インターネットを使っていますが、昔ってこんなごちゃごちゃしたサイトがいっぱいありましたよね。綺麗なレイアウトとは言えないですが、色んな所をクリックするサイト訪問の楽しみがあって凄くワクワクしたのを昨日の事のように思い出します。
「WHAT’S NEW」おっさん見えるか
WHAT’S NEWは2012年12月25日のクリスマスで止まっています。
「おっさん見えるか わしらのお父ちゃんは死んだりはせんぞ 死んだりはせんぞ」「ほうじゃ ほうじゃ」
中沢先生が死去された年で更新が止まっているようです。
しかし…とにかく見ずらいサイトです。
中には中沢先生へのインタビューもあったりして興味深いんですが、一番「そうなんだ!?」と思ったのが「はだしのゲンを楽しんで読んでくれていい」という所です。
実際にはだしのゲンを読んだ事のある方なら分かると思うんですが、明るい話ではありません。
この辺は「創作の真実」でも語られていましたが、執筆中の中沢先生を悩ませたのがどこまで踏み込んで描くかという事だったといいます。実際にあった事をありのままに書くと残酷過ぎて読者が読んでくれなくなる。かといって綺麗なままでは描けない。このバランスをうまく保ちつつ執筆されましたが、非常に本心ではなかったと仰っています。
恐かったり気持ち悪かったりする描写が多い作品なのですが、中沢先生は「読者から敬遠されたり、そもそも読んでくれなくなる」のを一番恐れていたように感じました。
そう考えると、この、一見不謹慎にも思えるような明るい公式サイトで「エンタメとして楽しむはだしのゲン」が作られたのは自然の流れのようにも思えます。
公式サイトで「は打」を楽しむべし
このサイト、一部で話題になった「は打」があります。「おどれらのキーボード、さかむけにしたる!」タイピングゲームですね。(どこにあるか分かりにくいのでこちらにリンクを置いておきます)
「うわーん あんちゃん逃げるのか ずるいぞ ずるいぞ」
「君江さん すぐこの家をでていきんさい」
など、漫画のセリフを打ち込んで行くんですが、ちょっとここでは書けないような言葉も出てくるので面白いです。
時代を感じるサイトですが、はだしのゲン同様にこのままリニューアルされる事なく存在し続けていって欲しいです。
はだしのゲンは中沢先生が1人で描かれました。奥さんが少しアシスタントとして手伝う事はあったそうですが、基本的に1人で誰かを雇う事なく描ききったそうです。
個人的な思想もたしかに多く入ってる作品ではありますが、日本全国で、そして世界に広がった「はだしのゲン」を残した偉大な漫画家の一人ですよね。
はだしのゲンをまた読み返したくなりました。